手拭いの暖簾(35)風神雷神図
万年筆とインキ瓶のある不思議な風神雷神図の手拭い。藍色の濃淡だけのさっぱりとして、でも何かしら心惹かれる一枚です。我が家の手拭いの暖簾が最近代わり映えがしないので、「こんなおしゃれなのが見つかりました」とプレゼントに頂いたのです。
風神雷神図屏風は俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の3枚が江戸時代前期、中期、後期に描かれていて、それぞれ国宝、重要文化財であり日本の誇る文化財です。尾形光琳と酒井抱一は出光美術館で二つ並べて見た記憶があります。もしかして俵屋宗達のも見たような見ていないような、残念ながら記憶がありません。勿体ないことです。
4枚目の、古典なのかモダンなのか理解し難いこの手拭いが妙に気に掛かり、遂に発売元の “かまわぬ”に電話をしました。銀座の伊東屋の専属発売品(もしかしてデザインが伊東屋?)で、制作は“かまわぬ”とのこと。不思議な図柄についての説明は「風神が屏風から飛び出し、インクをこぼして足跡を付けたのを雷神が怒っている図」だと返事を頂きました。納得!納得!これで安心して吊るすことが出来ます。そして一般人の知らないところでの商業の裏というか、からくりを垣間見ることになり、慣れ親しんだ銀座伊東、屋がビル建て替えのために閉店することも知りました。コロナ以来世の中が少しずつ変わっていくようで、淋しい気持ちにさせられた一枚の手拭いでした。
AZ