しんごのキになる話㉑ 散歩していて気になる話の巻(その6)

ネットで調べるとビンタロはキョウチクトウ(夾竹桃)の仲間で、沖縄ではミフクラギ(別名:沖縄夾竹桃)と言われます。

ミフクラギとはその実に触れた手で目をこすると目が腫れることから「目脹ら木」の意味でつけられたものです。マレーシア、インドネシアでも目が見えなくなる木(Buta Buta)とも呼ばれます。

キョウチクトウは私がかつて駐在したインドの工場の花壇にも植えられていたことを思い出しました。それはビンタロとは違うセイヨウキョウチクトウと呼ばれるものだと思います。その木があるから蛇やトカゲなどが花壇にやってこないと手入れする人が言っていました。挿し木で苗を増やしていました。

セイヨウキョウチクトウはインド原産の常緑低木で生育旺盛で萌芽力も強く、日当たりを好み通気性のよいやや湿った土が適し、公害や塩害、乾燥にも強く、病気や害虫にもかかりにくい樹木として知られています。そして、木(幹)、葉、実、周辺の土のすべてに毒性があります。フランスではバーベキューの串にこの枝を使ったことにより中毒事故(死亡)が起こったことがあります。

そういえばマンゴーもウルシ科の果実で皮膚にかぶれを起こす物質を持っていますよね。

熱帯植物には毒性を持つものが多いのでしょうか。

それだけ敵が多く、それから身を守る必要があるということでしょうか。

キョウチクトウは日本には江戸時代中期に中国を経由して伝来しました。

和名の夾竹桃は葉が竹に、花が桃に似ているので付けられた名前です。

西洋では花がバラ、葉がゲッケイジュ(ベイ)に似ているのでローズ・ベイの名前があります。

ところ変われば花変わるですね。

散歩中には、赤、白、黄色と咲かせ、芳香を放つプルメリアをあちこちに見か 

けます。これもキョウチクトウ科の仲間で、樹液に毒性があり目や皮膚を傷つけます。

原産地は中南米、カリビア海諸国です。プルメリアとは学名で、和名ではインドソケイですが、インドとは原産地が違いまったく関係がありません。

名の由来は17世紀のフランスの植物学者シャルル・プリゥミエにちなんで付けられました。

太平洋の島々ではレイに好んで使われ、花は女性の髪にも飾られ、未婚者は頭の右に、既婚者は左に飾ります。赤い花のプルメリアはニカラグアの国花です。

インドではその赤い花のプルメリアの香りとサンダルウッド(白檀)を混ぜた甘い香りのするお香(ナグ・チャンパ)があります。なお、インドネシアでプルメリアはカンボジアと呼ばれます。そういえば、カンボジアの隣の国のタイに駐在した時に、この花について部下がお墓の花で嫌われたと言っていたことを思い出しました。それで調べてみると次のことがわかりました。

「タイでは昔、プルメリアはTemple Tree(寺院の木)と呼ばれ、お寺にだけ植えられていて人々から嫌われていました。タイ語ではラントム(悲しくて辛い)、ロムターン(あなたの屁)と呼ばれていました。しかし、タイ王室のシリトーン王女(故ラーマ九世の次女、1955年生)が、この花を愛し、花の名をリーラー・ワディー「優雅に歩く女性の姿」と変え、国民の間に美しい花として広まり、街中にも植えられました。」

同じキョウチクトウでも花言葉はまるで逆になってしまうのですね。可哀そうなセイヨウキョウチクトウ。

リンドウ目
キョウチクトウ科
ミフクラギ属 キョウチクトウ属 インドソケイ属
ミフクラギ セイヨウ
キョウチクトウ
インドソケイ種
花言葉 注意、危険、用心 気品、恵まれた人、陽だまり、
内気な乙女

補足:インドソケイのソケイとはモクセイ科ソケイ属の植物でジャスミンのことです。
花が強い芳香をもつので香水やジャスミン茶に使われます。ジャスミン(ヤースミーン)という名前はペルシャ語に由来し、中近東から欧米では女性の名前としても用いられています。

散歩していて気になる話の巻(その7)につづく

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