うっかり日記1~親父の形見

世の中から後期高齢者だと決めつけられサイズ大きめの保険証を付与されて、反論もできず日々暮らしています。
まあ、国民が1
億人以上もいるので、国としては何んらかのグループ分けも必要だろうと特に反発せずにいる今日この頃です。
それはさしおいて、ここ数年、ついうっかりして何かを失敗してしまうことが増えたことは事実です。 いったいいつ頃からうっかりが増えたのか意識していなかったこともあり、今後は、そのうっかりを書き留めてみようと思いたちました。それで「うっかり日記」を始めました。

3月末、帰省の帰途、三重県南牟婁郡と熊野市在住の友人二人に誘われてクマノザクラを鑑賞することができた。(詳細は熊野探訪記で報告)実はこの時、おおきなうっかりがあった。あちこちの名所を車で案内してもらい、温泉にまで入れて予想以上に大満足だったことは報告した通りだ。

友人宅に泊めていただき、翌朝最寄りの駅まで送ってもらった。この時、荷物を車の後部座席に置いたのだが、一つ忘れものをしてしまった。実はそれが、親父の形見の帽子だった。長年勤めあげた旧国鉄(今のJR )から支給されたもので、退職後も傷一つなく大事に保管してあった。

最後は12年間ほど施設でお世話になったが、ずっと部屋に置いてあった。見舞いに行ってその帽子を見るたびに、仕事を誇りにしていたんだと思えた。だから燃やせなかった、捨てられなかった。そんな大事なものを簡単に置き忘れるとは親不孝な息子だ。その息子ももう後期高齢者だから仕方ないか。その後、帽子は友人により無事手元に届けられた。

ひょっとしたら、親父さんは向こうで、先に逝ったおふくろと久しぶりに再会して、
「あっ、しまった帽子を忘れてきた!」と言っているかもしれない。
「心配いらないよ、そのうち届けにいくから!」

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