しんごのキになる話57 ギリシャ神話 エコーの巻(その5)
その女神アルテミスに仕えていた妖精のひとりがエコーでございます。
このエコーにはおしゃべり好きという欠点がございました。
ゼウスは自分の浮気を監視する妻ヘラの追跡をのがれようとそのエコーをヘラの話相手につけたのでございます。
その時のゼウスとエコーの会話は次のとおりであったのでないかと思います。
エコー 私は一体、奥様と何を話せばよろしいのでございますか
ゼウス 何でもよい、ヘラの側にいて相槌を打っておればよいのだよ
エコー その相槌とはどのようにすればよろしいのですか?
ゼウス 『おはよう』といわれれば『おはよう』と答え、『良い天気だね』といわれたら『よい天気だね』と答えればよいのだよ
てなわけで、ゼウスはエコーを妻ヘラのもとへ遣わしたのでございます。
ヘラ おはよう
エコー おはよう
ヘラ 良い天気だね
エコー 良い天気だね
へラ お茶でも飲もう
エコー お茶でも飲もう
すみません、ギリシャの神々がお茶を飲んでいたかどうかは定かではございません。
最初の内はまあなんとか話が合っておりましたが、やはり相槌だけでは間がもちません。
ヘラ 今、何時ですか
エコー 今、何時ですか
ヘラ 私が聴いているのよ
エコー 私が聴いているのよ
ヘラ 私が聴いているといっているの
エコー 私が聴いているといっているの
ヘラ 私が聴いているといっているのといっているの
エコー 私が聴いているといっているとのといっているの
ヘラ 馬鹿じゃないの
エコー 馬鹿じゃないの
そんな会話があったとかなかったとか。
ギリシャ神話 エコーの巻(その6)につづく