おぼろげ記憶帖 8 フランスの食事
前夜しっかりとフルコースの食事を済ませた人は朝でも満腹。何時の頃までかクロアッサンとカフェオレをメイドがベッドまで運んでくると聞いていました。これは上流社会のことでしょう。普通は焼き立てのバゲットを朝買いに行くのです。料理の時はバターを付けませんが朝はパンにバター、ジュースとコーヒーの簡単なものです。各人それぞれのランチョンマットを持っていてナイフ、フォーク、スプーンで綺麗に食べて添えられたソースもパンで綺麗に拭い、オードブルもメインのお皿も1枚で済ませます。その後ランチョンマットでクルクル巻いておくとの事。これは聞いた話。どこまでが本当なのか分かりませんがまあこんな感じだと思われます。
ずっと以前は昼食には家に帰って家族と共にゆっくりと食事をとるのがフランス式でした。現在は経済が発達し、職住が接近でなくなったこともあり、そのようなことは少なくなりました。でも日本のサラリーマンよりはしっかりと食事をしているようです。ブラッスリーの一皿料理、カフエの特大ビフテキなどを勿論ワインと共に。簡単にオードブルとメインの一皿とコーヒーというレストランもあります。忙しい観光客はバゲットにチーズやハム、チキンと野菜を挟んだサンドイッチ。これがまたパリパリと香ばしいパンにはさまれていてとても美味しいのです。食パンはありませんので日本のサンドイッチとは全く違うものです。所変われば…です。オペラ座界隈にはうどん屋。寿司屋、ラーメン屋と日本人街もありますから日本が恋しくなった旅行者は利用されるようです。
中華街に行けば安価で手軽にベトナム中華が食べられます。それぞれ選んで運ばれてきたのは自分のもの。私は中華料理は分け合って食べるものと思っていました。別々のお皿を注文してそっと半分ずつ分けたり、こっそりお味見をしたりとお行儀の悪いこととは知りながら実行するのが日本人です。フランスでは絶対にないと言っても言い過ぎることはありません。オードブルからメインのお皿へと懐石料理のように次々出てくるのが正統のフランス料理ですが、お弁当も松花堂弁当もありません。最近では冷凍食品が出回り子供には冷凍の食事が多くなったと聞きました。それで以前にもまして20歳になったら独立して親元を離れることに拍車が掛かっているという事です。自分の生き方に義務と責任とは付いて回りますが束縛されない自由を謳歌するためでしょうか? 実り豊かな人生であってほしいと願うばかりです。
東 明江