福岡県の木
二十年以上前の話です。
私が川崎転勤の辞令をもらったその年は桜の開花が遅く、4月1日には当時の勤務先『久留米』で、満開の桜の下、お別れの写真を撮りました。
新任地は煙突の中だと覚悟していたのに、近代的なビルに囲まれ、中野島では再びの桜に続いて、一面白い梨の花が満開。予想はいい方に外れました。
そして5月。ハイムを彩る大輪のつつじに驚かされました。
この一文を書くために調べてみたら、『ツツジは交配・品種改良が進み、実に多くの種類があり、分類説明しても混乱するだけ』とありました。ざっと言うと、ヒラドツツジの一種なのでしょう。
川崎市の花がツツジで、当時、独立した地下街としては八重洲に次いで全国二位の川崎市地下街にアゼリアという名前が付けられていることも納得でした。
生まれも育ちも勤めもずっと福岡なのに、県の木を知らない私、調べてみたら、これがなんとツツジ。それもゆかりは、福岡での最後の勤務地『久留米』だったのです。
絣とゴムで栄え、ブリヂストン発祥の地なのですが、古くからツツジの栽培が盛んで、輸出もしていたのだそうです。
そういえば福岡ではあちこちの家の生け垣にツツジが植えてありました。それも、ヒラドツツジとは対照的な、花が小ぶりのクルメツヅジでした。
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ツツジも放っておくと2メートルにもなるそうですが、普通は刈り込んで形を整えますから、福岡県のように『木』に分類するよりも、川崎市の『花』の方がしっくりくるような気がします。
では、福岡県の『花』が何かと調べてみると『梅』です。
藤原氏の奸計で太宰府に流されるとき「東風吹かば匂いおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」と詠んだ菅原道真を慕い、都から飛んできた飛梅の伝説に因んでいるのです。
菅原道真と言えば学問の神様、道真を祀った太宰府天満宮には、年間850万人以上が合格祈願で訪れるのだとか。
我が家の息子たちは幼い時から遠足などで何度行ったか分からないのに、福岡を離れたのが小中学生のときで、関東育ちのように、湯島天神こそ霊験あらたかと信じていたのです。面白いものです。