新加坡回想録(18)中華レストラン

シンガポールには中華レストランが数え切れないほどあります。今は、世界中のどの国でも中華レストランのないところはないでしょうが、とくにシンガポールは多いです。それもそのはず、国民の4分の3が中華系の人たちですから。

観光立国として今や人口の3倍もの外国人観光客が訪れる国ですから、食の文化は発展しています。もっとも、発展と言っても新しい料理ができるという意味ではなく、昔からある伝統的な料理のバラエティが多く揃っているということでしょう。

同僚たちとは、どこの海鮮料理が美味しかったとか、今どこで上海ガニが食べられるとか、いつも情報交換をしていました。そして、休みの日になると家族で行ってその真偽をたしかめ、仕事上のお付き合いにも生かしていました。

ある時、美味しいと評判の中華レストランに行ってみたところ、味が変わっていてがっかりして帰ったことがありました。後で聞いてみると、そこは、シェフが引き抜きに会って交代してから味が落ちたとの話でした。勿論、個人個人好みは違うし一概には言えないのでしょうが、中華料理はやはり香港が世界一で、シンガポールで美味しいと評判をとる店はほとんど香港からシェフを呼んでいるとのことでした。

たまたま、私は食品関係の仕事を担当していたこともあって、シンガポールのほとんどの日本レストランとお付き合いがあり、日本人の板前さんから食に関する情報は入りやすいという事情がありました。今や超有名な和食調理人とゴルフを一緒に楽しむこともしょっちゅうでした。苦労話や裏話もあれこれ聞いたはずですが、正直あまり覚えていません。

同じ材料を使ってもシェフの腕次第で旨くもまずくもなる料理の世界は複雑で奥が深いですね。
(西 敏)

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