シンゴ旅日記インド編(85)我輩は牛でんねん ヴィシュヌさんの巻
我輩は牛でんねん ヴィシュヌさんの巻 (2010年10月記)
えっ、今度はヴィシュヌさんの話が聞きたいちゅうんですか?
ヴィシュヌさんは我輩のファミリーのシヴァさんのライバルやから、あんまり気が進まんのやけど、よっしゃ、世界平和のために、ご紹介しますわ。
えっ、世界平和と関係がないってですか?すんません。
あんさん、ヴィシュヌさんのブロマイドを見たことありまっか?
あれを見るとな、ヴィシュヌの頭の上でヘビが守っていますんや。
アナンタ竜王でんがな、ヘビやけど竜でっせ。
サンスクリット語のナーガを中国で訳す時に竜にしはったんですわ。
えっ、インドネシア語でもヘビのことをナーガと言うんでっか、ホ~ン。
でもな、見れば分かるけどな、あのヘビな、キングコブラでっせ。
そんでな、ヴィシュヌさん、寝てはりますやろ、お釈迦さんと同じでんがな。
話が飛びますけどな、お釈迦さんな、年取ってからは高血圧やったって知ってはりまっか。
お釈迦さんな、いつも心臓が上になるように左胸を上にして寝てまっしゃろ。あれな、血液が体中に流れやすいように寝てまんのやで。
左胸にある心臓を下にして横向きますとね心臓のポンプが上に血を送らなあかん境が疲れまんのや。
お釈迦さんて80歳で死なはったけど、高血圧だけやったんやろか?
そやけどヴィシュヌさんの寝てはる絵はな、右も左も下にしてまんのや。
きっとヴィシュヌさんが生まれる前の絵やから、血圧関係なかったんやろね。
そんでな、ヴィシュヌさんの4本の手、あのな、ヒンズーの神さんは昔のブロマイドではみなさん手が4本あるんでっせ。
昔のヒトは何でも四つに分けるのが好きやったんやろね。
人生がそうやろ。あんさんなんか、もう遊行期でしゃろ。
えっ、何やて、それはって?
インドのヒトな、人生を学習期、家住期、林住期、遊行期の4つに分けてまんのや。
遊行期は最後の段階やがな、托鉢して聖地に向かって歩いて、キレイな心で死を迎えるんでっせ。
えっ、ワシはもう死ぬしかないという意味かってですか?
すんません。そんな積もりや無かったんですわ。
でも、もう世の中に欲望がないちゅう顔は、エーと、よおー見るとそんな風には見えませんわな。
話変えますわ、遊行期の前の林住期な、これは家を息子に譲ってヨメさんと一緒に森の中で修業するちゅう話ですわ。日本でも、五木ヒロシ、ちゃう、ちゃう、アレ、アレ、ソウ、ソウ、五木ヒロユキさんがこの林住期ちゅう本を書いてますやろ。
あのヒトな、大学のお金払えんで抹籍されはったど、有名になってから学費納めたんで中途退学扱いになっとるんやってね。苦労してはるんですな。そやからあんなけ白髪なんやろか。
あれっ、ヴィシュヌさんの手の話でしたな。
そんでね、その四つの手に持ってはるものはチャクラちゅう円盤、棍棒、ほら貝、そんで蓮華ですわ。
あんさん、チャクラを知ってはりまっか?
武器でっせ。ビューンと飛んで行って、敵をやっつけて戻ってくるんでっせ。ブーメランと同じでんがな。
このチャクラな、ヨガちゅうか、インドの漢方みたい医学のアユ―ルベーダでも使われてまんのや。
体には7つの輪の急所があって順番に瞑想しながらその輪のチャクラを開いて行くんですわ。
その中の一つが額でんがな。あの赤いマークを付けるところですわ。第三の目ですわ。
ここを刺激しますとね、直観力ちゅうか第六感が湧いて来るんやて。そんでヒンズーのヒトはそこに印をつけるんですわ。また、話しがチャクラみたいに飛びましたな。
ついでに持ち物も二つ飛んで、四つ目の蓮の花ですわ、この蓮の意味を知ってまっか?
水と大地と生命の象徴ですわ、それに朝咲いて夜閉じますやろ、あの蓮の花。
そんで太陽を意味するんですわ。それが再生と創造に繋がって行くんですがな。
仏教でもな、蓮の花の上にお釈迦さんが座ってますやろ。
仏教言うたら、法華経ちゅうのがありますやろ、あれのサンスクリット名は『正しい教えの白い蓮の花』ちゅう意味なんやて。
ヴィシュヌさんの話ゆうてもな、本名のヴィシュヌさんで活躍する話が少ないんですわ。
ヴィシュヌの名前で出てくる有名なんは、宇宙創造神話でんな。
ヴィシュヌさんな、海の上でさっきのアナンタ竜王さんをベッドにして永遠に寝てたらな、ヘソから一本の蓮が生えてきて花が開くと中に創造神のブラフマンさんが座っておったちゅう話ですわ。
これ何が言いたいか分かりまっか。
またヴィシュヌ・グループの作り話でんがな。
世界を作ったんはブラフマーさんやけど、そのブラフマーさんを生んだのがヴィシュヌさんやから、ヴィシュヌさんの方がエライちゅうわけでんがな。
アホらし。えっ、吾輩がえらいヴィシュヌを馬鹿にしとるなってですか?
そりゃそうでんがな、我輩なシヴァさんの、、、。
えっ、ファミリーやって、言うのやろってですか?
よう、ご存知でんな、えっ、もう何回も聞いているから、耳にタコが出来てるってですか?
おおきに、ありがとうさんです。
でも、あんさん、耳にタコですか?ヴィシュヌさんに出来たんわ、ヘソに蓮の花でしたで。
あっ、これ、シャレです。シャレです。これ。あんまりオモロないですな。
まあ、エエですわ、そんでヴィシュヌさんな、変身で有名になったんですわ。
その変身なサンスクリット語で『アバターラ』って言いますんやで。
『アバター』ちゅう映画ありましたやろ、宇宙人とヒトさんのハーフの物語。あれでんがな。
アバターにエクボちゃいまっせ。
そんでヴィシュヌさんの変身な、ちゃう、日本語では変身やのうて化身って言うんですってね。
今年日本で流行っとる竜馬の福山さんね、あのヒトが去年、歌ってたらしいですね、化身ちゅう題の歌を。それってヴィシュヌさんがモデルちゃいまっか?
そんでな、ヴィシュヌさんがいろんなモンに化身するちゅうことはヒンズー教があっちゃ、こっちゃの神さんや、神話を取り入れていった証拠でんがな。
会社でいうたらニホンデンサンさんみたいなもんですわ。
合併、合併で大きくなって行ったんですわ。
そんでな、よう言われる10の化身て言うたら、魚、亀、猪、人獅子、小人、斧を持つラーマ、ラーマーヤナのラーマ、クリシュナ、お釈迦さん、カルキですわ。これ以外にもあと12もの化身をする話もありますんやで。ガンジーさんもそうやちゅう話もありますんや。
ヴィシュヌさんな、この化身の中のラーマ王子とクリシュナさんの二つの役で有名になってるようなもんですわ。
そりゃ、クリシュナさんは赤ん坊の時から可愛くて、大きくならはっても、もてて、もてて、長谷川一夫、佐田啓二、最近でゆうたら草刈正雄みないなモンでんがな。
えっ、出てくるヒトがエライい昔のヒトばっかしやってですか?
すんません、オトンから聞いた二枚目のヒトばっかりですわ。
そんでラーマやクリシュナの話ってどんな話やってですか?
アカン、アカン、そんなん、話しとったら、どんなけ時間あっても足りませんで。
今度にしましょ。ただ最後のカルキな、水道水に入れるノンとちゃいますけどな、これはヴィシュヌさんの未来のアバターラなんですわ。
そやから、まだ現れてませんのや。
このカルキさんは世界が終わりの時のヒトさんが堕落し切った時に現れるんですわ。
その姿は馬なんですわ。どうしても、カッコエエ時は馬やね、現れるの。
白馬にまたがった騎士やちゅうんですわ。黙示録の騎士と同じでんな。それよりもな、ヴィシュヌさんのヨメさんやがな。
ラクシュミーさんて言うんでっせ。
日本でいう吉祥天さんですわ。二人はいつごろ、どうやって出会ったのかって?
あんさん、夫婦善哉のミヤコ喋々さんみたいなや。
えっ、また古い話やってですか?
最近は三枝さんが新婚さんいらっしゃいちゅうのをやっとるてですか。
きっと、それは夫婦善哉のコピーやね。
あんさんは蝶々さんのダンナさんの南都雄二さんの名前の由来を知ってまっか?雄二さんな、もともと芸人とちゃいまんねん。
二人は駆け落ちなんですわ。そんで台本読む時に雄二さんな、字が読めへんさかい、これ何と言う字やっていつも聞きはたったんやて。
そんで、その口癖の何という字が芸名になったんやて。
あんさん、あんさん、あんまり、深う考えなさんなや。
そんでね。ヴィシュヌさんとラクシュミーさんの二人の出会いな、ズッコイんやで。
ヴィシュヌさんの化身で言うと二番目の亀の巻でんがな。
あの乳海攪拌でんがな。神さんたちが不老不死の薬アムリタが欲しい言うてな、ヴィシュヌさんに相談したんですわ。
そしたら山をスリコギにして海をかき回せってメチャクチャなことを言わはったんですわ。
神さんたちな、敵のアスラの神さんも一緒になって竜を山に巻きつけて海を一生懸命かき回したんですわ。そうしたらな、海の底に穴が空いてもて山が沈みそうになったんで、ヴィシュヌさんが亀に化けて海に潜って山を支えたちゅうんですわ。
そして続けてかき回してたら海の水が乳色になってな、中からいろんなモンが出てきたちゅう話でんねん。
まず最初が、ゴホン、メス牛のスラピーさんでんがな。
ゴホン、我輩の先祖でんがな。
このスラピーさんな、願ったモンを何でも出せる牛でしたんやで。
きっとドラエモンの先祖でもあったんやろね。
このスラピーさんと聖仙のカシュヤバさんの間に生まれたんが、ゴホン、オス牛のナンディンさんやがな。
えっ、ゴホン、ゴホンて吾輩が風邪ひいたんとちゃうかって。
ちゃうまっせ、ええですか、よ~う、聞きなはれや、乳の海から出てきたんが我輩らの先祖さんの、、、。えっ、もう、十分に分かったから先に進めってですか?
あんさん、冷たいヒトやね。ここまで話させといて、次に行けちゅうのですか。
まあ、エエですわ。
でもね、日本にもありますやろ、不老不死の伝説。
徐福伝説ゆうて、中国のシンのシコウテイに東のホウライという国に不老不死の霊薬があるゆうてな、出て行ったマンマ、帰らんかったヒトのはなし、日本中にあるそうですがな。
その他にもありますやろ、タケトリ・ストーリーでんがな、プリンセス・カグヤが月に帰ってもて、おじいさんが、カグヤのおらんこの世にはミレンはない。不老不死を得ても仕方がない、一番高い山で燃してくれちゅうて、その山が不死山いうて、今の冨士山になった言うて。
えっ、そんで、いつ、ラクシュミーさんが生まれるのかって?
あんさん、あんまり日本の伝説に興味がないみたい人みたいやね。
そんでな、スラピーさんの次が、馬で、その次が、象で、宝石で、聖樹、天女、そしてラクシュミーさんですわ。
ラクシュミーさんな、自分でヴィシュヌさんをムコさんに選んでな、ちゃっかりヨメさんになってしもうたんですわ。
そしたら、神さんたちが、悔しい、残念や、何でや、て言うとるとな、酒の女神さんが出て来て神さんたちに、まあまあ言うてお酒振舞って宥めたんでんがな、
そんで次にお医者さんの神さん、いや、神さんのお医者さん、まあどっちでもエエけどな、その神さんが不老不死のアムルタを持って出て来たちゅう話ですわ。
そんで神さんたちがアムルタを飲んださかい、神さんたちは死なんようになったちゅう話でんがな。
海をかき回すって言うのは、なんか牛乳からバター作るのと同じですやろ。
きっと、もともとはインドの北の方の話やろな。
そんでな、ヴィシュヌさんの乗り物なガルーダさんでっせ。
えっ、またエライ話が飛ぶってですか。
そうでんがな、ガルーダは飛ぶ鳥でんがな。
それにアムルタと関係ありまんのやで。この話は前にも話したと思いますがな、あの聖仙のカシュヤバさんに二人のヨメさんがいてまして、一人がガルーダのお母さんで、もう一人がナーガ族のお母さんでしたんや。この二人のお母さんたちな、賭けが好きでしたんや。
そんで太陽を曳く馬は何色やって賭けたんですわ。
よっぽどこのお母さんたちは暇やったんやろね。
ガルーダのお母さんは全身真っ白よって言うたんですわ。
そしてナーガのお母さんは尻尾だけ黒いのよ、と言うて、お互い負けたら奴隷になるのよってゆう賭けしたんでっせ。
そんな賭けしてるお母さんの旦那さんたちは何してましたんやろね。
その太陽を曳く馬な、ホンマは真っ白やったんやけどね、ナーガ族のお母さんてヘビでっしゃろ、息子のヘビたちに馬の尻尾に取り付かせてね、尻尾を黒く見せかけて賭けに勝ちはったんでっせ。
いかさまでんがな、けどガルーダのお母さんが負けたんで、ナーガ族の奴隷になるという悲惨な状況になったんですわ。
丁度その頃な、ガルーダが生まれですわ。間の悪い子やね。全く。
そんでな、ガルーダがね、自分のお母さんが可哀想や、お母さんを解放してくれってナーガたちに言うたらな、ナーガのお母さんが、天界の神さんのインドラが持ってるアムルタを取ってきたら許したるって言うたんでんがな。
そんで、ガルーダが天界に行って戦ってアムルタもって帰る途中にヴィシュヌさんに会ってんですわ。
ヴィシュヌさんがお前は勇気あるやっちゃ、永遠の命を授けるちゅうて約束したもんやさかい、ガルーダな、ほんなら私はあんさんの乗り物になりますわって言うてしもたんですわ。
あれっ、あんさん、なんか疲れて来たようですな。高血圧でっか?糖尿でっか?
この話はまだ続きありますのやで。
ガルーダな、天界から追っかけてきたインドラとまた戦うんやけど、アムルタを必ず返すからっちゅうことでワボクしたんですわ。そんで、ナーガのところに帰ってきてね、お母さんを解放してもらってんですわ。
そんで、ガルーダが草の上にアムルタを置いてね、まず沐浴してから飲まんと効果ありませんよーてウソこいたんですわ。
だまされたナーガたちが沐浴してる間にガルーダがアムルタを奪ってインドラさんに返してこれで円満解決でんがな。
その時のオチな、ヘビさんの舌が二つに割れているのはな、何でやちゅうことでんがな。
それはな、この時にヘビさんたちが、未練たらしく、アムルタのあったあたりの草を舐めたんで、草で舌が切れて二股になったちゅうんですわ。
あんさん、もうかなり、疲れてまんな。アムルタ買いに行っときなはれ。
えっ、何処でアムルタを売っているのかってでっか?それは薬局かってですか?
冗談ですわ。冗談。
あんさん、もうじき来るインドのお正月のデワリって知ってまっか。
あれな、ラーマ役のヴィシュヌさんとシータ役のラクシュミーさんの話ですわ。
アカン、あんさん、もう我輩の話を聞いてはらしませんね。
何かを買いに行きたそうでんな。財布の中のお札数えてはりますやろ。
ほなら、ここでサイナラしますわ。(アカン、ギフのオッサン、フラフラしながら、薬局に入って行ったわ。知らんで、アムルタってなんのことやってしつこく聞かはるんとちゃいまっか。アムルタってソーマ酒いうソーマちゅう植物の茎からとった液と牛乳、バターなんかを混ぜて作った飲み物って言われてるけどな。)