シンゴ旅日記ジャカルタ編(15)  散歩しながら考える(出会う人たち)の巻

散歩しながら考えるの巻 出会う人たち (2019年9月記)

最近の早朝散歩は連夜のお酒が残っているので、毎朝は億劫になり土日の朝だけになりました。

アパートを出る時間は夜から朝に切り替わるつつある6時少し前です。

夜が明ける順番を日本語では暁(あかつき)→東雲(しののめ)→曙(あけぼの)というようですが、私が出かけるころは「朝ぼらけ」の表現が合うような気がします。

土日で大きな道路は車やオートバイが走っていますので、私はそれらの通行が少ない注宅地に入っていきます。私のアパートの周りには注宅地が5、6区画ありますのでその日の気分によって散歩する住宅地を変えています。

各住宅地の入口には守衛さんがいて、24時間体制で出入りする車やオートバイの運転手のIDカードを預かったりしていますが、歩いて出入りする人のチェックはしません。

どこの住宅地の入口の守衛さんとも私は顔見知りになりました。

住宅地に入る時には大きな声で「Selamat Pagi(お早う)」と挨拶し、出る時は「Terima Kasih(ありがとう)」と言って挨拶します。

ある朝、住宅地に入ったすぐのところに大きなバンヤンツリーがあり、気根が長く垂れ下がっていたので写真を撮ろうとすると、守衛所から一人出てきて、その気根にぶら下がり懸垂をして見せてくれました。愛嬌があるというかサービス精神が旺盛な人なのでしょうね。

また守衛さんたちは持ち場の道路の清掃もしたりしています。

オジェック(オートバイタクシー)の運転手さんも早朝からお客様を待っています。

その客待ちする場所は普通は守衛室の外ですが、広い住宅地では一定の場所に客待ち場所が決まっているようです。私のアパートの前にも朝から客待ちの運転手さんが何人か待機しています。

彼らにとって散歩する私は商売になりません。でも彼らは通り過ぎる私に「オララガ(運動)、ジャランジャラン(散歩)、クセハタン(健康)」と声を掛けてくれます。

ある住宅地では客待ちしていた暇そうにしていたゴジェックの運転手さんに写真を撮らせてくれと頼むと、喜んでと言った風にオートバイにまたがり、笑顔でポーズをとってくれました。

朝早くから商品を売り歩いている人たちとも出会います。定期的に出会うひとはインドネシアのジャムー(インドネシア古来のハーブ薬)を売り歩くおばさんです。

「ソーㇽ、ソ―ㇽ」と声を出して歩いているのは靴底ゴム張り屋さんです。

オートバイに乗り「ロティ、ロティ」と大声を出していた移動パン屋さんもいます。

ある朝は庭木の手入れをしていた素足の庭師さんもいました。

ある高級団地では血統書付の犬のブリーダーをしている家があり、毎朝若者が毛並の良い犬を連れて散歩しています。

別の家でお庭を拝見していたら家から出てきた同年配の人がこれから孫を連れて散歩すると言ってポーズを取ってくれました。このほかにも朝から鉢の木の手入れしている人と花木の手入れの仕方やどこで肥料を買うのかなどと話し込んだりしてゆっくりと2時間、時には3時間ほど散歩します。

最近見かけるようになったのがインド人グループのヨガ体操と、インドネシア人グループが楽しく踊る音楽体操です。

そして私はお日様が出てくると自分の影を写真に撮って遊んでいます。

日本と違って太陽はインドネシアの真上を通ります。その日の正午はどんな影になるのでしょうか?

丹羽慎吾

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