シンゴ旅日記ジャカルタ編(23) 日帰り旅行 その5 温泉をはしごの巻
ジャカルタから日帰りで行ける温泉にできるだけ多く行ってみようと思いました。
私のインドネシアでの温泉経験は昨年の中部ジャワのグチ、バンドン近郊のチアテル、そして今年に入り訪れたスカブミ県のインド洋側のチソラックです。
他の温泉をネットで調べるとジャカルタから日帰りできるところが一杯紹介してありました。
それに載っていたボゴール近くのティルタ・サニタに行くことにしました。
しかし、今回の旅行は帰ってきてからもっとネットでの紹介をよく読んで行くべきだったと反省しました。というのは、ティルタ・サニタは温泉が一カ所でなく辺りに三か所ものの源泉があるとネットに書いてあったの、それを流し読みしたので一番奥の魅力的な源泉に行きそびれたのです。しかし、そのため時間が出来て他の場所に移動して楽しい旅行ともなりました。
朝8時にチカランを出て1時間半で目的地に着きました。
駐車場に車を停めて温泉への入り口を近くの人に聞くと、道路を挟んだ反対側にあると教えてくれました。それでそこに行き入口で入場料を払い中に入って行きました。
受け取ったチケットにはティルタ・サヤガと書いてありました。
ネットで調べたのはティルタ・サニタですので、私は違うところへ来てしまったのかと不安になりました。でも、温泉に入れるのであれば問題ないと思い、着替えを入れた袋を持って中に入りました。
入ってすぐに『Hot Spring, Tirta Sayaga』と書いた看板があり、その向こうには白い丘が見えました。
その白い丘は石灰と塩でできた丘でした。
そこは温泉地というよりも遊園地みたいでした。そしてまだ昼前でしたので訪れる人は少なかったのです。私と運転手さんは温泉を探して丘に登ったり、丘の回りを歩いてみました。
子供用のプールやセラピーと書いた建物はあるのですが温泉らしいものが見つからず結局白い丘の回りを一周しただけでした。
私は運転手さんにここは失敗だ、歩き疲れたので休憩したあとに他の温泉に行こうと言いました。
そして入口付近の売店で三位一体のインスタントコーヒーを飲むことにしました。
インドネシアのインスタントコーヒーですから粉が底に沈むまで待たねばなりません。
売店の前を歩く家族連れや団体の人たちが増えてきたので、売店のオヤジさんが店先でシャボン玉セットを実演して売り出しました。
私は運転手さんが近くの温泉をスマホで探している間にそのお手伝いをすることにしました。
スマホで調べていた運転手さんが別の温泉が駐車場の反対側にあると言ってきました。
それで休憩を切り上げて、駐車場へもどり、近くの人に聞くと、先ほどの公園とは反対の山の上に温泉があると教えてくれました。私たちはそこへ行くことにしました。
その温泉はグヌング・パンジャンで、売店と売店との間に挟まれた狭い入口で入場料を払うと側にFish Spaの生け簀があり、数人の女性客が水の中に素足を入れていました。
このFish Spaはほかでも見たことがあるのですが、私は試したことがありません。
そこのFish Spaは無料だというので運転手さんと試してみることにしました。
サンダルを外して足を入れるとフナのような小さな魚が私の足の爪から踵までに寄ってきました。
最初はあちこちをちょっと刺されるような痛みを感じましたが、慣れて来るとくすぐったくなってきました。足の古くなった皮を餌として食べているのでしょうね。申し訳ない気がしました。
片方ずつ足を入れてFish Spaを堪能したあと、そこを離れ丘の上に上っていきました。
するとそこには細い道を挟んで掘立小屋が立っていて、多くの人が休んでいました。
そしてよく見ると通路の横に岩をくり抜いた湯船が四つほどあり、そこから流れる湯がその下の池に流れ、さらに一番下の大きな池に流れ、その先は広く広がる田園風景になっていました。
私たちはで通路横に机だけ置いた場所で入浴料を払い、粗末な小屋で水泳パンツに着替え、一番上の岩の湯船に向かいました。運転手さんは私よりも先に湯船につかり先客二人と一緒に湯船のそこから泥の様なものをすくい顔や、体になすりつけては湯で洗いおとしていました。
二段目、三段目の浴槽というか池の湯の温度はほんのわずか温かいといった程度でした。
それでそこに浸かる気にはなれませんでしたが、そこから眺める田園風景は絵になるものでした。
浴槽から上がり小屋で着替えて、戻る途中に料金所で写真を撮り、丘を下りて駐車場に戻りました。
私は運転手さんにまだ昼前だから、遠くてもいいから別の温泉に行こうと提案しました。
運転手さんはまたスマホで探してくれて、そこよりももっと先に別の温泉があると言うのです。
それではそこへ行って昼食を取り、温泉に入ろうと提案しました。
次の温泉地へは田舎道ばかりを通った長いドライブで、途中で午後1時を過ぎてしまいました。
食事をしようにも麺や揚げ物の屋台のある狭い家並みは通るのですがレストランが見つかりませんでした。運転手さんにはお腹が空いたら好きなものを食べていいよと伝えましたが、彼は目的地まで行きますと言って運転を続けました。
道は次第に坂道となりどんどんと登っていくと温泉地らしいところに着きました。
するといつものように道路に料金所があり入山料、通行料などを支払いました。
その温泉地はボゴールのサラック山(標高2,210m)の麓の温泉国立公園内にあるものでした。
その日は日曜日でしたので、料金が休日料金となっていました。
私たちは温泉よりもお腹が空いたので、温泉への小さな入口を通り過ぎ、レストランらしきところを探して車を走らせました。
するとヴィラ風の建物があったので車を停めて、入り口で食事ができるかと守衛さんらしき人に尋ねるとできますということでしたので、中に入っていきました。
車を駐車場に置いてレストランがどこかを係の人に聞くと、入口横の事務所に案内され、女性担当者からノートに名前と電話番号、メールアドレスを記入してくださいと言われそうしました。
その係の女性がヴィラの案内は必要ですかと聞きましたが、私は食事だけで結構ですと答えました。そしてレストランに案内されましたが、お客さんは私たち二人だけでした。
メニューを見て食事を選び注文すると、運転手さんがトイレに立ち、席に戻ってくると外の景色が素晴らしいですよと教えてくれました。
それで私はレストランの人に外の景色を見に行っていいか尋ねるとその人はそのまま敷地内のヴィラのいくつかを案内してくれることとなりました。
そのヴィラは斜面を利用して広い土地のあちこちに立派な個室を持っていました。
また会社の会議や研修なども宿泊してできる設備も持っていました。
ヴィラでの食事は美味しいものでした、そして食事を終えてから目的の温泉地へ向かうために来た道を戻り、脇道の温泉への狭い道路に入り、さらに走った先に狭い駐車場がありました。
そこからコンクリートの急な階段を下りていくと途中に展望台のような
ところがあり、山々の景色を眺めることがきました。
コンクリートの階段その段差が一律でなく歩きにくいものでした。
さらえにどんどんと下りて行きましたので帰りの坂道がしんどいものに
なるだろうなと思いましたが、頑張って下りて行くと、大きな岩が
沢山ある川の中で多くの人が水遊びをしているのが見えました。
川沿いに温泉の水がパイプで引いてきてあり、頭から湯を浴びる
場所もありました。
私はゆっくり浸かれるところが無いかとあたりを見回すと、坂の上に幼稚園のプールのようなものがあり、子供たちが入って遊んでいるのが見えました。
その入口に料金所があったのでそこの人に、どこに温泉があるかを尋ねるとその子供プールを上ったところに温泉があるといいました。
私はまずそこを見せてくださいと料金を払わずに上がっていくと、そこもプールになっていて中に大勢の人たちが湯に浸かっていました。
その湯に手を入れてみましたが、あまり熱くはありませんでした。
プールの横には建物がありその中には個室のバスがあるようでしたが、私はもう帰る時間も気になり、お湯に入る気分も失せていましたので入り口で待つ運転手さんのところに戻りました。
そして彼に川の上流に掛かっている橋から向かい側に渡り、下流に掛かっている橋でこちら側に戻ってこようと伝えました。
川に掛かる橋は歩けば揺れるような橋で、また川の両側の売店兼休憩所は遠くから眺めると昔の日本の湯治場のような風景に思えました。
川から駐車場へ戻るコンクリートの坂道は予想通り私には堪(こた)えました。
時には運転手さんにタオルの端を持って引っ張ってもらったり、休んでは深呼吸し、休んでは深呼吸をしながら上っていきました。
インドネシアの温泉も駐車場から温泉場へのアクセスや湯に浸かる設備が早く整備されればいいなと思います。
丹羽慎吾