シンゴ旅日記ジャカルタ編(22) 日帰り旅行 その3 階段畑の巻
ボゴール植物園、タマン・ブンガ・ヌサンタラ(庭園)と続いた日曜毎の日帰り旅行の三回目は運転手さんに頼んで滝を見に行くことにしました。
彼が選んでくれた滝はジャカルタから東に車で三時間ほど行ったマジャレンカ県のセレメ(Cereme)山(標高3,078m)の麓でした。マジャレンカ県は運転手さんの出身県でもあるのです。
マジャレンカといえば今年5月に西ジャワ国際空港が開港したことで有名です。
滝はセレメ山の麓に登る途中にあったのですが、運転手さんはそこを通り過ぎて山麓の中腹まで車を走らせました。
セレメ山の頂上へは車で行くことができません。自動車で行ける道路がまだ出来ていないのです。
また、途中までの道路もつづら折りの狭い道で対向車に出会うと一方が停まって待っていなければすれ違いが出来ないほどでした。
滝を見に来たのにどんどん山道を車で登っていきました。
そして、標高1200メートルのところの茶店の横に車を停め、近くの見晴らしの良い丘に登ることにしました。上り口で一人5,000ルピア(約40円)の入山料?を支払いました。
細い畑の横の道を通って丘に登り、そこから見渡す景色は素晴らしいものでした。
急な斜面に作られた畑は畝が一列だけで、段々畑というより階段のような畑でした。
丘の上では家族連れ、恋人同士、友人同士など多くの人々が景色を眺め、写真を撮っていました。上から斜面下の駐車場を見下ろすと沢山のオートバイと数台の車が停めてありました。
みんなオートバイに乗ってあの急な坂道を登って来たのです。
私と運転手さんは360度見渡せるその丘の上で写真を撮りまくりました。
こんな急峻な山の斜面を耕して野菜を作るという人々の生活力に感動しました。
丘を下りる時は上りと違う道を通りました。その道は足で土を踏み固めただけの細道でした。
片側に竹で作った素朴な手すりがあり、足を滑らせないようにそれにつかまりながら下りていきました。坂道を下りて道路にでると脇に茶店があり、その横に停まっていたオートバイの後部座席の両側にカゴの中にはドリアンが一杯入っていました。
私が運転手さんにこれは買うことが出来るのかと聞くと、彼が茶店に座っているそのドリアン売りらしき人に聞くと、ここで売っているということでした。
それでその人に良く熟れたドリアンを一個選んでもらい運転手さんと二人で食べました。
ドリアンを食べ終わるとドリアン売りはもっと食べるかと聞いてきましたが、お腹が一杯となったのでもう十分ですと答えました。
そして、売店でペットボトルを買いドリアンを食べてべトついた手をその水で洗いました。
ちなみにドリアン一個は50,000ルピア(約400円です)でした。
ドリアンを食べたあと駐車場までの上りの坂を息を切らせて歩きました。
そして、朝来るときに素通りした滝を見に行くことにしました。
滝の駐車場に着いて入口で入場料を支払いました。ひとり15,000ルピア(約120円)でした。
滝を見るためには坂道を歩いて下りて行かねばなりませんでした。
最初は両側がキャベツ畑の緩やかな坂だったのですが、途中からコンクリートの階段となり急な坂道となりました。
私は運転手さんに「こんな坂を下ると帰りは大変だよ。まだ昼ごはんも食べていないし。」とぐちりました。急な階段を下りる途中で滝は見えたのですが、折角歩いて来たのだからと更に階段を下り、滝そのものの近くまで下りて行きました。そして滝の入口で1000ルピア(8円)の料金を払いました。
滝を見て、写真を撮り、駐車場へ戻ることにしました。上りの坂道は心臓にきついものでした。
私は休んでは深呼吸し、休んでは深呼吸して上っていきました。
コンクリートの階段を上り切り、畑の中の緩い坂道の途中で畑に種を蒔いている夫婦がいました。
私はそれは何ですかと声を掛けると、奥さんはわざわざ私の傍まで近づいてきて籠の中のタネを見せてくれました。それはキャベツのタネで、この地域では4カ月で大きくなるとのことでした。
この高原の村の家々はきれいなものでした。きっと高原野菜が年中取れて、ジャカルタなどに即日配達できるので収入が安定しているのであろうと思いました。
駐車場に戻り、私は運転手さんに『次は昼ごはんを食べよう、私は糖質制限中だからご飯は要らない、お魚とお肉と野菜が食べたい』とお願いしました。
それまでの高原の茶店や滝のお店ではカップヌードルや揚げ物ばかり販売していたので、食事をしなかったのです。車で麓に下って行く途中に展望レストランがありました。
朝登って来るときにそこで休憩しようと思いましたが運転手さんがまだ大丈夫ですと言ってそのまま通り過ぎたところでした。そこで私は鶏と魚の焼き物ともやし炒めを頼んで空腹を満たしました。
帰りの車中で私は疲れた足からサンダルを脱ぎ、シートに持たれ、眠りながら帰宅しました。
丹羽慎吾