新語・難語解説~カスハラ

カスハラとは、カスタマーハラスメントの略称です。法律用語ではないため、明確に定義されているわけではありませんが、一般的には顧客や取引先からのハラスメントを「カスハラ」と呼びます。

厚生労働省は、次のようにカスハラを定義しています。
「顧客などからのクレーム・言動のうち、当該行為・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」

分かりやすくいうと、顧客や取引先から過剰な要求をされたり、商品やサービスに対して不当な言いがかりをつけられたりすることをカスハラと呼ぶのです。最近では、対面だけではなく、SNSを通したカスハラも目立ち始めました。

カスハラにはBtoC型(企業・消費者)型、BtoB(自社・取引先)型があります。

クレームとの違い
カスハラと混同されがちな言葉に「クレーム」というのがあります。中には、両者を同じものだと認識してしまっている方もいると思いますが、厳密にいえば別物です。

カスハラは、お客様や取引先から過剰な要求をされたり、不当な言いがかりをつけられたりすることを指します。一方、クレームは商品やサービスに対する、正当性のある要求のことです。具体的には、商品やサービスに破損や欠陥があり、返金を求められるケースなどを指します。これらは妥当性や正当性のある主張や意見ということになり、カスハラには該当しないケースが多いです。

カスハラに該当する事例
カスハラに該当する代表的な事例はいかのようなものです。

・要求が妥当性に欠けている
お客様や取引先の要求が妥当性に欠けている場合は、カスハラに該当する可能性が高いです。例えば、提供している商品やサービスに欠陥や破損、不注意がない場合や、要求内容が、企業の提供しているサービスや商品と一切関係がない場合などです。

上記の理由に当てはまるにもかかわらず、返金要求や謝罪要求などをしてくる場合は、カスハラとして認定されやすいといえます。
・要求を実現するための手段や態様が不適切である
お客様や取引先の主張に正当性や妥当性があったとしても、要求を実現するための手段や態様が「社会通念上不相当」な場合には、カスハラに該当する可能性が高いです。

よくあるのが、
・身体的な攻撃(殴る、蹴るなど)

・精神的な攻撃(脅迫や中傷など)
・威圧的な言動
・土下座の強要
・差別的な言動
・性的な言動
などです。
また、場合によっては商品交換の要求や、金銭的な補償の要求もカスハラに該当する可能性があります。

カスハラが犯罪行為に該当する可能性について
カスハラは、ハラスメントの一種ではありますが、場合によっては犯罪行為に該当することもあります。以下、該当する可能性が高い犯罪行為について詳しく見ていきましょう。

脅迫罪
脅迫罪とは、相手を脅して恐怖心を与える行為のことを指します。
違反した場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。謝罪の姿勢を示しているにもかかわらず、常識の範囲を超えて罵声を浴びせたり、ものを壊したりした場合は、脅迫罪に該当する可能性が高いです。

恐喝罪
恐喝罪とは、脅迫などで相手を怖がらせ、金品を脅し取る行為のことです。違反した場合は、10年以下の懲役が科せられます。相手を脅し、正当性や妥当性に欠ける理由で慰謝料などを請求した場合は、恐喝罪に該当する可能性が高いです。

強要罪
強要罪とは、脅迫や暴力を用いて相手に義務のない行為をさせることです。違反した場合は、3年以下の懲役が科せられます。よくあるのが、土下座の強要です。また、謝罪文の提出や辞職の要求なども強要罪に該当する可能性が高いといえます。

威力業務妨害罪
威力業務妨害罪は、威力を用いて業務を妨害する行為のことです。違反した場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。大声をあげて周囲のお客様を怖がらせたり、入り口に立ち塞がって、故意に他のお客様を入店させないようにしたりするケースは、威力業務妨害罪に該当する可能性が高いです。

不退去罪
不退去罪とは、正当な理由なく他人の敷地内に居座る行為のことです。違反した場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。>よくあるのが、「要求を呑んでくれるまで帰らない」と言い張るケースです。

カスハラ対策として企業が行うべき事前対応
従業員が快適に働ける職場にするためには、経営陣や担当者がカスハラ対策をしっかりと行う必要があります。大切な従業員を守るためにも、自らの事業を守るためにも、以下で紹介する方法を参考にしながら対策を行っていきましょう。

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