新語・難語解説~ブレイキン
ブレイキンという新しい言葉を知ってまだ何か月も経っていません。今回のパリオリンピックから新たに採用された種目で、ようやくその意味が理解できました。
ブレイクダンスのことなんですね。の素晴らしさは素人目にも分り感激しました。ダンスと言うよりはもはやスポーツだということがよくわかりました。そこで、改めてこの言葉について調べてみました。
ブレイキン、またの名をブレイクダンスとは、ヒップホップ文化から生まれたダンス形式の一つで、1970年代にアメリカ・ニューヨークのブロンクス地区で若者たちによって始められました。
このダンスは、音楽に合わせて行うアクロバティックな動きが特徴で、ダンサーたちは地面に手をついて回転する「パワームーブ」や静止する「フリーズ」といった技を駆使します。ブレイキンはただのダンスではなく、表現の自由と創造性が詰まった芸術形式としても評価されています。
起源
ブレイキンは1960年代末から1970年代初頭にかけてアメリカ合衆国ニューヨーク州ブロンクス地区の若者たちの間で自然発生的に生まれました。この地区は当時、経済的にも社会的にも困難を抱えており、若者たちはストリートギャングの一員としてそのエネルギーを発散していました。
しかし、次第に彼らはギャング活動から離れ、ダンスという形で自己表現を始めるようになります。ブレイキンはそうした社会背景の中で、「バトル」と呼ばれるダンス対決を通じて技術が磨かれ、形式が確立していきました。
文化的背景
ブレイキンが生まれた1970年代のブロンクスは、貧困、犯罪、差別など多くの社会問題に直面していました。その中でブレイキンは、若者たちにとって逆境を乗り越える手段として、またコミュニティの絆を深めるツールとして機能しました。
音楽とダンスを中心に、グラフィティアートやDJing、ラッピングといった文化も同時に芽生え、これらは後に「ヒップホップ」という大きな文化運動へと発展していきます。
スタイルと技
ブレイキンにはいくつかのスタイルが存在しますが、主に「トップロック」、「フットワーク」、「パワームーブ」、「フリーズ」と分けられます。トップロックは立った状態で行うステップダンスで、ダンスの導入部として用いられることが多いです。
フットワークは床に手をついて行う複雑な足の動きで、ブレイキンの中でも特に技術を要する部分です。パワームーブは体を地面に投げ出して行う高度な技で、バックスピンやヘッドスピンなどがあります。フリーズは音楽のブレイクに合わせて一瞬のポーズを取ることで、その見た目のインパクトから観客に強い印象を与えます。
ブレイキンとヒップホップ文化との関係
ブレイキンはヒップホップ文化の四要素の一つであり、DJing、MCing(ラッピング)、グラフィティと共にヒップホップの世界を形成しています。これらはすべて1970年代のブロンクスで同時期に発展した芸術形式で、互いに影響を与えながら成長していきました。
ブレイキンは特にヒップホップ音楽のリズムと密接に関連しており、そのダイナミックなビートに合わせてダンスが進化していったのです。
ブレイキンの進化と現代への影響
1980年代に入ると、ブレイキンはアメリカ国内だけでなく世界中に広まり、多くの国で競技としても行われるようになりました。映画やテレビの影響も大きく、『フラッシュダンス』や『ビート・ストリート』などの作品によって一般にも広く知られるようになります。
現代ではオリンピックの正式な競技としても検討されるなど、その文化的価値と芸術性が認められています。ブレイキンは今や世界中の若者にとって自己表現の手段であり、競技としてもその技術が高く評価されています。
日本では1980年代後半からブレイキンが広まり始め、ストリートダンスとしての地位を確立しました。多くのダンススクールがブレイキンのクラスを設けるようになり、若者を中心にその人気は高まっています。
日本国内でも多くのブレイキン大会が開催されており、世界大会で優勝する日本人ダンサーも現れています。文化や国境を越えて、ブレイキンは多くの人々に愛され続けているダンスです。