スマホライフ36~ AI による医療革命
AIによる技術の進歩は医療分野でも確実に進展しているようだ。少子高齢化で人口全体は縮小しているが老齢者人口は増加しており、それだけ医療業務は忙しくなっている。
一例として、横須賀共済病院が取り組んでいる医療DXは次のようなもの。同病院の年間の救急車の受け入れは1万4千台と全国屈指の実績を誇っている。一日当たりの入院患者は600人弱。
これまで、入院時に患者が持参する薬を電子カルテに記録するのに、薬剤師が1患者あたり20分ほどかけて見分け入力していた。今は、バラバラに置かれた複数の薬に薬剤師がタブレットをかざし、画面のマークをタップすると、即座に6種類の薬の名前が表示される。このタブレットならAIが瞬時に識別、数分で作業は終わるという。
病院が医療DXに取り組み始めたのは2017年ごろ。救急の受け入れが増え、多くの人員を割く必要に迫られていた。病院の様々な業務をデジタル化し、作業時間を数分ずつ短縮することで膨大な時間が削減でき、人員を他の業務に振り分けることができるようになった。
20年からは入院や手術の説明に動画を活用し始めた。最終的な同意は人が対面で確認するが、1患者あたりの説明時間は半分になり担当者を減らすことができるようになった。
また、電子カルテの作成には音声入力が導入されている。看護師が患者の様子をマイクに向かって話せばタブレット内のカルテに内容が記入される仕組みだ。当初、医療用語が難しく変換率は60%だったものが、今は98%まで向上しているとのこと。ベッドの横でそのまま音声入力できるので、事務室に移動する必要がなく便利になった。
患者が自身の医療情報の閲覧や問診票の入力をスマホでできるアプリの開発にも取り組んでいる。
このように、使い方次第でさらに病院の事務効率を上げることが期待できそうだ。ただ、病院の事務の効率化ばかりでなく、患者にとってもデジタル化は便利だと思える環境づくりも大切だろう。