おぼろげ記憶帖 36~フランスの野菜(5)
Chouキャベツ
平べったい感じのする一般的なキャベツ。品種は季節によっていろいろあるようです。サラダにしたり炒めたり煮たりこれほどに多種多様な料理方法があり、一年中出回り、比較的安価な野菜は少ないでしょう。
ラグビーボールを横半分に切ったような春キャベツは甘みが強く柔らかいので千切りにして生のまま。静岡の道の駅で見つけたのは冬キャベツだったらしく硬くてロールキャベツにも不向きでした。これと同種類がフランスのキャベツ。北国のキャベツなのでしょうかコロッケ(フランス料理にはない日本料理)の付け合わせに千切りにしましたが一度でこりごりでした。
和食作りは結構大変です。キャベツの荒い千切りを塩と酢で漬け込んだのがシュークルート(ザワークラフト)、ドイツとの国境に近いアルザス地方の郷土料理。ぎっしりと重しを掛けて発酵させ、水分を少なくしたものをスーパーで買えます。私は500gを買いますがこれは土地の人には一人分のようです。店員さんに「こんなに少なくていいの?」と毎回聞かれましたから。あまりに酸っぱいので水で洗ってベーコン・ソーセージ・フランクフルトを入れて炊きなおします。
この肉類もこの時はアルザス産のものが美味しいのです。キャベツとの相性抜群です。粒マスタードを添えて食べます。簡単に美味しい本場のシュークルートが手に入っていましたから自分で作るなどとは考えてもみませんでした。帰国してプラスチックの漬物容器で簡単に作れるレシピを見つけました。今では日本の柔らかいキャベツ、見つかれば硬い冬キャベツにリンゴ酢・クミンやベイリーフを入れて我が家風シュークルートを作っています。何故か“フランクフルト”はドイツのもの、日本のより塩分が強くて煮込み料理には適しているのでしょうか、少しだけ懐かしい味に近づきました。
アルザスはライン川を越えるとドイツ、石炭の街です。ドイツ領になったりフランス領になったり古くから戦いのたびに国が変わるのです。それで我々はアルザス人だと胸を張って言うのを現地で聞いたことがあります。ストラスブルグ・コルマール・ランスという大きな町があり白ワインの一大産地なのです。さてこのシュークルートには赤白どちらのワインが合うのでしょう? 聞きそびれました。ソーセージは肉類ですがきっと勿論白いアルザスワインだ!という返事がありそうです。