おぼろげ記憶帖 33~フランスの野菜(2)
フランスの野菜(2)
茄子Aubergine 時には20㎝もある大ぶりの茄子。中は硬くて種だらけ。日本のように形が整い、色合いが美しく、柔らかい肉質ではありません。焼きナス・甘辛煮・天ぷらと何を作っても日本の茄子が懐かしい! でも南仏の郷土料理Ratatouille(ラタトゥイユ)には必需品です。
茄子とCourgette (ズッキーニ)赤 ・黄・緑のパプリカにトマトは1kg位、大きいので5~6個。たっぷりのオリーブオイルで炒めます。香り付けの香草はエルブドプロバンス。野菜から水分が出るので水は入れません。煮込むだけです。この家庭料理を4回4人のフランス人に教わりました。
“コルドンブルー”や“リッツホテル”の高級な料理教室にも行きましたが余りにも手の込んだ料理で家庭で作ることは無理。レストランで食べるフランス料理でした。どの先生にもラタトゥイユはありました。ところが野菜を切る大きさが違いました。それぞれを小ぶりに切り、ひと種類ごとに丁寧にフライパンで焼いてシチュウ鍋に入れる。うす皮のあるパプリカはオーブンで焼いて皮をむく。トマトは湯むきにして皮をむいて煮込む。出来上がりはとてもやさしく繊細でした。反対に豪快な作り方も教わりました。野菜は大まかに大振りに切り、一度に大鍋に入れてクタクタになるまで煮て、塩・胡椒で味を整えて出来上がりです。オリーブオイルが味の決め手のようです。
私流は鶏の骨付きのもも肉を焼いて取り出し、丁寧と豪快の中間の感じに切った野菜を次々オリーブオイルを足しながら作りました。肉と野菜を一度に作る手間省きの一皿でした。両方を教わっていて良かったと思っています。本来ラタトゥイユは立派なメインデイシュで暖かいお皿です。日本で豚肉のローストに小さな小さな角切りの冷たいラタトゥイユが添えてありました。“所変われば品変わる”と言いますが冷たくても暖かくても美味しい便利な料理なのです。プロバンス地方の郷土料理、野菜と対になる魚料理は何といってもヴィヤベースでしょう。お行儀が悪いと思いますが ああ食べたい!と思います。