おぼろげ記憶帖 32~フランスの野菜(1)
フランスの野菜(1)
日本とフランス、たいていの野菜はあります。ただ気候風土の異なることで 形・大きさ・色が少し違います。料理も和食と西洋料理、それぞれがその特徴を生かして使われているようです。
レタス
日本でレタスと言えばニューヨークレタス。でもフランスにはこのレタスがありません。laitue(レチュ)が一般的でサラダ菜の品種の中には根に土のついている新鮮なのもあります。大抵はミックスサラダにするのではなくグリーンだけのサラダ。レタス単品を包丁を使わず手で千切ってドレッシングで食べます。あまりにも簡単な料理なのでレストランで出てくることは少なくなりました。でも注文すれば周りの硬い部分を外して芯に近い所を丸のまま後ろに包丁目を入れてお皿の上に。オイルとお酢だけが出て来てドレッシングはなく塩も胡椒もありませんでした。ただオイルはひまわりオイル・落花生オイル・オリーブオイルから選び、菜種油は見たことはありませんでした。酢はワインビネガーの他に何種類かの果実酢。キイチゴやスグリなどの香りの高い赤い色の酢です。この二つを掛けて食べるのが一番贅沢なレタスの食べ方のようです。
他には日本でも見られるようになったロメインやフリゼと呼ばれるサニーレタスがあります。緯度の高い寒い国ですから2月にはレタスが店頭から姿を消します。代わって入荷するのがベルギー産のダンリーブ、日本名チコリでした。
ダンリーブ(D’endive) チコリ
チコリは最近日本でも小さい形のものが一つ幾らと高値で売られるようになりました。パリではもっと大きくて巻きは柔らかですが山積みにされていて㎏単位で買います。少なくても500g(1リーブルとも言います)。
小さいものは剥がした舟形にマヨネーズ和えを盛り付けてお皿代わりに。丸のままサワークリーム煮にして肉の付け合わせに。サラダにはザクザク切って赤カブの茹でたのと併せてドレッシングをかけるのが標準的な食べ方です。淡いクリーム色と濃いえんじ色に近い赤、見た目に爽やかな一皿です。
赤カブはロシア料理のボルシチに使いますが生のものは1時間も茹でなければ柔らかくなりません。茹でたものが売っていて野菜売り場で大きさを指させばフォークでぶすりと突き刺し紙袋に入れて目方を計ってくれます。水気はしっかり切ってありますがこの赤紫色は洋服に着いたら洗っても取れません。超要注意な野菜です。
後になって真空パックになって売られるようになり汚れの心配がなくなりました。パリへ旅行した折、懐かしくなってスーパーで買って持ち帰ったこともあります。ところが最近のスーパー(サミット)で見つけたのです。スエーデンと原産地が表記されていました。世界も広くなりました。勿論買い求めました。